ウイグル語とは
ウイグル語とは、中華人民共和国新疆ウイグル自治区とその周辺で話されている現代ウイグル語(新ウイグル語)のことである。ウイグル語はテュルク系の言語で、文字はアラビア文字を改良したものを用い、右から左に書き、右から左に読む。厳密に言うと、現代ウイグル語はテュルク諸語の南東語群(チャガタイ語群)に属する言語であり、現代ウズベク語(ウズベキスタンの公用語)と非常に近い関係にある。
ウイグル語の語彙は、古代テュルク諸語から引き継いだものに加え、イスラーム化の結果としてアラビア語やペルシア語の語彙を多く含む。また、近現代のウイグルの政治的、地理的な位置を反映するかのように、ロシア語や中国語からの語彙の借用も少なくない。その一例として、1958年の『新疆新聞』の第一面で見られるロシア語の割合は10.4%、1981年のウイグル語記事では中国語の割合が7.4%にも及んだという調査結果がある。
ウイグル語の使用者は中国国内に900万人以上おり、このほかカザフスタン、キルギスタン、ウズベキスタン、トルコ、サウジアラビアなどにもそれぞれ数十万~数千人ほどいる。現代ウイグル語は32の字母を持ち、8の母音、24の子音からなる。同じ文字でも、単語の始め・中間・末尾に応じて書き方が異なり、結果として126種類の書き方が存在する。また、ウイグルアラビア文字の他に、ウイグルラテン(ウイグルコンピューター文字)と呼ばれる表記法も存在する。
ウイグル語と日本語
ウイグル語は日本語を母国語とする者にとって習得しやすい言語とされる。その理由の一つとして、文法的な並びが似ていることが挙げられる。例えば、日本語の「の」に相当するウイグル語の「Ning(ニン)」の使い方はほぼ同じであり、日本人にとって理解しやすい。しかしながら、日本語には敬語や謙譲語があり、また言葉の意味が曖昧で繊細な表現が多い。さらに、「空気を読む」といった文化的な要素もあり、日本語は単に文法の類似だけでは学びにくい側面も持つ。
一方で、ウイグル語と日本語には共通する擬音語・擬態語が多く存在する点も注目に値する。例えば、「ずきずき痛む」はウイグル語でも「ズキズキ」、「ドキドキする」もウイグル語で「ドキドキ」と表現される。このような偶然の一致が、日本人にとってウイグル語を親しみやすいものにしている。
また、日本語とウイグル語の文化的な表現にも違いが見られる。日本語は感傷的で詩的な表現を多用するが、ウイグル語にも美しい比喩が存在する。
「小柄の女性」=ウイグル語で「ghunche boy(غۇنچە بوي)」 →「蕾のような姿」を意味し、華奢で可憐な体型を表現する詩的な表現。
「徹夜する」=ウイグル語で「yultuz sanash(يۇلتۇز ساناش)」 →「星を数える」という表現になり、ロマンチックな響きを持つ。
「私はあなたが好きです」=ウイグル語で「men sizni yaxshi körimen(مەن سىزنى ياخشى كۆرىمەن)」 →「私はあなたのことを良いと思っている」という直訳になり、日本語の「私はあなたが好きです」とは似ているようで異なる表現。
このように、日本語とウイグル語は表現の豊かさや感情の伝え方に違いがあるが、文法や語彙の面では意外な類似点も多く、日本人にとって学習しやすい言語の一つであると言える。